記憶を辿る 104話
– 映像 –
閑話休題として音楽と映像の話で箸休め。
イラストレーターとフォトショップが退屈な大分の夜を助けてくれたことは80話でもお伝えしたが、見様見真似で映像や音楽作りにもチャレンジしていた。スタートは取り込んだ音楽をCDに焼き付けるだけだった作業が、今度は音楽のBPM(速さ)を揃えた70分ノンストップのMIX CDを作り出すに至った。
ちょうど音楽がデータでやり取りされ始めた頃で、周りのDJ達はこぞって集めてきたレコード音源をPCに入れてデータ化し、PC一つあればDJ プレイできるようになるという聡明期だったのだ。
これはとても画期的な技術革新だ。
音楽だけに留まらず、カメラや映像など。
素人がどんどんプロっぽく作れるようになっていった。
当初は友人の店で一杯飲む”ひととき“を楽しむための”好きな曲集“だったのが、それを聞いた見ず知らずのお客様が”CDを持ち帰る“という現象が起き、これに勝機(なんのw)を見出した私は、昔かじった杵柄を掘り起こすようプロ仕様の機材を揃え、”女子ウケ“だけを狙った”チャラヲタDJ化“していくようになる(笑)
友人知人だけだったものが”モテ“に対する欲望は暴走し、出会う女性すべてを対象にCDを配り、噂を聞きつけた知人やその先の友人知人、そのまた知人と連鎖を繰り返すように仕向ける。
私が容姿端麗だったなら、こんなゲスの極みのようなことはしていなかっただろうが、そうではない私にとっては何かをしなければ辿り着けない土俵だったのだから仕方ない(笑)
年齢は重ねたけれど、香水を付けた”あの頃“と何ら成長はない。
知らぬ女子との待ち合わせは友人の店を指定して酒を酌み交わす。
使える男だと女性から認識されたら主導権を握ったも同然。
NEW CDが出来たよと各々に連絡を入れると友人を連れ立って数人で来てくれ、1人では対応しきれないから友人を呼ぶ。
端的にいうとコンパ製造アイテムとして使っていたのだ(笑)
ポップでキャッチーな音源ばかりを集めたMIX CDは、HAPPY BOXと名付け、確かVol.8とか9まで作ったように記憶する。この出来事は周囲へ私はPC作業に長けた人間だという湾曲した認識も植え付け、友人の結婚式や二次会の映像も頼まれるようになっていく。
今は全てスマートフォン1つで完結するが、この頃はPCを使わなければ作ることが出来なかったこともあり、友人からの白羽の矢は私を成長へと導いてくれた。
主に imovie を使う編集だった訳だが、”ウケ“を狙いたがる私は、当時のヤンチャなTVを模倣した。
新郎の父母や兄妹が書いたかのような感動を呼ぶ手紙を流した後、実はこの手紙は”私が書いた手紙“でしたというオチを作って参加者全員から非難を浴びたり、想いをDVDで伝えたいという友人の要望で告白動画を作ったり(笑)
現在の山城動画はほぼスタッフが手がけてくれているが、イレギュラーで私も作成に参加できると今までの経験を思い出して妙に楽しい。令和に生きるスタッフの感性やアプリの使用方法を伝授してもらいながら、なんとかついていけるのは閑話休題な話もあってこそである。
やっぱり何事にも無駄はないのである。
さてさて、これからも昭和感と素人感たっぷりの今風ではないコッテリ動画と洗練されたスタッフ作のクオリティの差も楽しんでいただけたらと思う。