- Home
- > 京ちぢみとは?

横糸のみに強い撚りをかけ、晒行程の際に大きく生地を縮める事で、楊柳生地独特の凹凸が生まれます。この凹凸が肌への接地面積を少なくし、いつも清潔でさわやかな清涼感が得られます。また吸水性と速乾性に優れ、撚り(捻り)の力によって伸縮性が効き、軽くて薄いのが特徴の織物素材です。
楊柳生地の歴史
楊柳生地の発祥の歴史は非常に古く、桃山時代の天正年間(1573年頃)に明(中国)の織工によって楊柳生地は伝えられました。(当社調べ)新潟小千谷地方を代表する麻を使う麻縮や京都丹後の絹をつかう縮緬(ちりめん)。この流れの中で綿の綿ちぢみも生まれました。高温多湿の日本の風土と気候に合う生地として江戸時代には、東京・大坂・京都を中心に普及しており、文献『 毛吹草 』松江重頼著(1638年)には、山城の国と畿内には、多くのちぢみ織屋があったと記述されています。また『 絹布重宝記 』(1789年)では、『 その中でも京都西陣産が特に優れている。』と記されており、各産地が絹や麻、綿を使ったちぢみ織で競い合っていた事が伺えます。
当時の楊柳は非常に生産量も少ない高級品。一般に出回る事はほとんどなく、戦後の高度経済成長の技術革新で量産が可能になり「綿ちぢみ・クレープ・楊柳 」などと呼ばれ、皆様に愛されるコットンのクレープ生地に成長していきました。
またその過程で京都には、琵琶湖からの水流を利用した伏見晒といった晒工場がかつてはあり、それに伴った機屋や縫製所など数十社がありました。現在の晒工場は伏見晒の流れをくんだ、滋賀県高島市にある晒工場のみとなっています。(高島ちぢみ)
ちぢみ織りの特徴
ちぢみ織りの製造過程
この楊柳クレープ生地の最大の特徴は織物素材であることです。そして織物であるにも関わらず" 編物のような感覚 "伸縮性がある事です。通常の綿糸というのは綿花から糸を紡績した時点で1,000回転ぐらいの撚り(捻り)をかけ、強度を持たせ糸がほぐれてこないようにしています。
その糸をつかい織っていく際、縦方向の糸(経糸)は紡績後そのままの糸を使い、横方向の糸(緯糸)に+1,000〜+1,200回転を加えた強撚糸(きょうねんし)を使って織っていきます。これが『 ちぢみ 』楊柳素材の特徴を出していく、他の織物と大きく違う点です。この時にただ強撚糸を使えば良いというものではなく、
・糸番手
・撚り回数
・織り上げる生地幅
・織り上げる生地の密度
などの様々な組み合わせがあり、一つが違えば全く違った綿楊柳のシボ感、風合いになります。こういった行程の一つ一つが創業60余年の京都 山城が持つノウハウの一つです。そしていくら強撚糸を使った楊柳素材でも織り上がりはただの生地。強撚糸に糊をつけ、引っ張って織っているので、見た目も普通の織物と大差はありません。
なぜちぢみ織りは伸び縮みするか?
ちぢみ織りの変化
『 ちぢみ 』の素材感を出していく最も重要な行程の一つ『 晒行程 』では、糊付き強撚糸で織り上げた『ちぢみ生地 』を水と湯で晒し、付着している糊を取っていきます。
この行程の結果が楊柳素材、『 綿ちぢみ 』の誕生の時。生地が縮んだ状態から、元に戻ろうとする力が働くようになります。この力こそが織物なのにストレッチの効く凹凸を持った楊柳を生むのです。
簡単に言うと、生地全体が横方向に伸び縮みしている事になります。この伸縮を効かせる為の凹凸が、体へ触れる接地面積を少なくするだけでなく、毛細管現象で水分や老廃物を吸収する力を持つようになり、 吸汗性・速乾性・涼感性に優れた楊柳クレープ生地になるのです。
この晒の行程は、綿の楊柳生地自体を大きく縮めることだけでなく、不純物を省き、生成色を真っ白で清潔感溢れる白に変化させます。晒のキーワードは『 水 』。上質な澄んだ水を育む水の国、日本だからこそ出来た Japanese Original でもあるのです。
そして山城の楊柳クレープ生地、ちぢみ織は独自のノウハウを用いた工夫を様々な箇所加えています。綿の糸自体も厳選し、極細番手糸を使って織っている為、非常に薄くて軽く、体にストレスを感じさせない伸縮性のある綿の楊柳、クレープ生地に仕上げております。
また山城の全商品が天然繊維 綿100%ですので、これからの時代に必要な自然との共存共栄を感じる、人と地球に優しい綿クレープとして楊柳生地を提案しています。
ちぢみ織物の用途
人と地球に優しい綿の楊柳クレープ生地は、高温多湿の蒸し暑い日本の夏に最も適した“吸汗性・速乾性・涼感性 ”の機能を持ち、非常に軽くて薄く、伸縮性のある天然繊維の楊柳クレープ生地です。用途は、主にスーツの下に着るステテコなどに代表される紳士クレープ肌着やナイトウェア。他には寝具や介護衣料、快適さやゆとりを求められる商品に採用されています。
その中で、最もポピュラーな製品として『 ステテコ 』に使われる綿の楊柳クレープの生地のことを世間では『 ステテコの生地 』と呼ばれたりしています。ズボンの下に穿くパンツとして『 ロングパンツ 』『 ロングトランクス 』とも呼んでいます。
このクレープ生地の語源はフランス語の形容詞"ポワポワした、小さくシボの立った"などの意味で使われており、女性に人気の食べ物のクレープと同じです。
このように、老若男女問わず広く認知していただいている"クレープ生地""楊柳生地"は、時を経て日本の文化が育んだジャパニーズオリジナルの素材として広がりを見せており、創業60年余年を迎える京都 山城では楊柳素材をつかったオシャレなステテコや珍しいTシャツをご提案しています。
多くの皆様に綿、コットンクレープ生地の独特のシボ感・肌ざわり・吸汗性・速乾性・涼感性をご体感いただけるよう、ちぢみという日本で独自に発展した楊柳クレープ生地の火を灯し続けれるよう、ネット通販と店舗での商品展開を充実させ、日本だけにとどまらず世界に向けて販売しております。