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工場がパンク

襟元にフリルを施すデザインのレディースシャツ。
何度もサンプルを作り、やっとOKが出ても今度は製品試験の難関がある。
そりゃそうだ、雑誌で見た製品と届いた商品に少しでも違いがあると返品やクレームに繋がる。

それに加えて担当部署や多くの人が絡んでくる案件なだけに、その基準となるものはmm単位のサイズ共有に始まり、カラー、デザインの食い違いがないよう”ここからは納品します”、”ここからはB品です”というマニュアルも作成しなければならない。

この溝を少しでも埋めていくだけでも大変なのだが、大手のこなす管理方法や製品基準、アイデアを間近で見ながら経験できることはOEM事業の良いところでもある。それにプラス対価もいただけるのだから良いことづくめ、、、
のはずだった。

初の大型案件に心は躍ってはいるが、なんせ初体験な事だらけでスムーズに進みそうな話も上手く進まない。工場でも尽力してくれているけど、なんせ初回納品分だけでも千枚は超える納品なだけにスピードが追いつかない。
そうこうしているうちに納期が迫る。

同時に通常ラインの肌着も生産せなばならない中、ゴールの見えない毎日が続いて精神的にも疲弊していく。今となれば良い成長の機会をいただいたと思うが、私も工場もキャパオーバーな案件だったことは否めなかった。

仕入れ部門からの心配を受けながらも何とか初回を納品。
倉庫から”製品チェックOKでました”の一報にどれだけ安堵したか分からない。

一息はつけども2回目、3回目の納期がある。
それに発刊されてから多くの注文が入るようなら4回、5回と納品できるよう発注量も上向きに下方修正されていく。

これに対応できるように準備も進めていかなければならないのだが、売れたからといってすぐに作り込めるような生地や生産能力ではないから、リスクは承知で山城が製品を抱え込むような”財”も面倒みなければならない。
今までの下請け業とは全く違う会社の動きになるのは当然だった。

そして発刊されてから1週間後、仕入れ部門からの「売れてるので増産します」の連絡が入り増産が決定される。嬉しいが20%、この緊張感がまだまだ継続するのかの心配が80%な心境だったのは言うまでもない。

こうして順調に納品を重ねていっている中、先の共有していたマニュアルを元に大きな問題が生じ始めていた。

三代目のコラム 記憶を辿る110話に続く

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