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残業 –

社長を筆頭に、私と事務員2人の少数精鋭部隊で回っていたこの会社、1人の事務員さんは膨大な量の経理担当、1人はその日の出荷予定の仕分けからラベル貼り、電話番に出荷伝票の発行から備品の買い出し、客人へのお茶出しなど問答無用で何もかもが業務内容だった。

無論わたしも全てのパートを担うのが当たり前。
最後の出荷作業は20時あたりから社長も加わってくれたが、業務によっては不参加なこともあり、出荷作業の多くは主に私1人が担当だった。

紙巻に巻かれた糸は1本約500g。
出荷ラベルには何色(品番)が2.0kgや13.0kgと記載されており、これに併せて明細を見ないで梱包した。本来なら照らし合わせるのがセオリーだろうが、そんなことをしていたら24時どころか翌朝になる。照らし合わせチェックは事務員さんに任し、品番毎に”2.0kg=4本”とか”15.0kg=30本”などを瞬時に割って梱包する毎日だった。

アマゾンなどの倉庫スタッフは、商品をピックアップしてくる歩数や時間、梱包する時間を秒刻みで課せられると聞く。より正確さと規則性をもたすならロボットしかない。なぜならAさんとBさんの従事する1梱包作業のタイムラップが別だと9時間後には梱包個数に大きな狂いが生じるからだ。
要はコスト増だ。

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雇用される側は余り気にしない自身のコストは、後年になって大きく身に沁みたことを思い出すが、完全にそれが支配している訳ではなく、物事のバランスを取る方法として頭に生まれ出すのは仕方がない。

人が3年かかるところを1年でやりきれという教えを説いていた父の影響もあり、当時の私は無我夢中で1日の仕事量を誰よりも早く正確にこなすように心がけ、次のステージを任せてもらえるよう貪欲に邁進した。

最終の梱包作業が終わるのが23時。
公には論外だっただろうけれど、日々22時ぐらいに配送会社のトラックが会社前に横付けされ、最終出荷分を無事に集荷できるよう詰めてくれる毎日だった。

業務が終わった頃には身も心もクタクタ状態。
当時の社長からすれば、頂いた注文はどこよりも早く届けたい。
それが何時であってもだ。このスピードが次の注文に繋がるんだという夢を見て、明日への活力を養っていたに違いない。実際にこれが小さい会社へのリピートに繋がっていたのだから。

後にWEBショップを手掛けていく山城だが、頂いた注文は即日出荷の発想、それもヤマトさん集荷ギリギリまで引っ張った根っこはココにあると感じている。

大手ポータルサイトではない、Google海に漂う離れ小島のようなウェブショップで商品を注文してくれるお客様の心配や期待を想像したら。

本当にありがとうございます。

しかないのだ。
加えて小さいからこその機動力は活かしたかった。

しかし従事する人の体や心情を思いやれない会社にはしたくない。
立ち上げ当初の思いと現実のバランスを取るのは難しい。
いつの時代も、どの会社もこの溝が埋まることはない。

山城の手伝いを始めてから数年後のある日の夜、この会社の前を通ったことがある。
ふと見れば、別の出荷担当が佐川を横付けに出荷作業を遂行していた。

今でこそ山城のWEBショップは、13時までは即日出荷という決め事を頂くに至ったが、この時に経験した陰陽が活きているのかもしれない。

三代目のコラム 記憶を辿る69話に続く

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