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氏子 西御座 神輿 御輿 錦

神様と私 その参

輿丁(よちょう)の仲間入りに誘ってきた友人も、そのような立場の人間だった。
本能寺の大石碑に先祖の名前が刻まれているような系譜を持つ魚屋の息子だ。

18歳を迎える年が近づくにつれ、会うたびに彼のおっちゃんからは「真平ちゃん、神輿担ぐか?」「今年から担げよ」と言われた。
幼い頃から神輿に慣れ親しんでいたとはいえ、私自身「さぁ担げる年になったぞ」なんて思っていた訳ではない。真平ちゃん真平ちゃんと声をかけてくれるおっちゃんがいて、何気に「了解っす」みたいな感じの軽い気持ちで参加を始めた。

だからだろう、初年度だったか翌年だったかハッキリしないが、二日酔いでドタキャン、サボった事もある。いつからこの国は高校3年生の二日酔いを許したのか、さすがに心優しく温厚な魚屋のボンも怒っていたのを思い出す。

灯籠 持ち もち 寺町 三条 神幸祭

こうして参加し始め、灯籠持ちと呼ばれる任務を任された。
毎年初参加となる輿丁が多くいるが、そのほとんどが担ぐか担がないかを自由に選択しながら渡行についてまわる。こんな丁稚奉公のような任務からスタートした初参加組も稀だと思うが、将来は役員を担っていかなければならない立場の人間と一緒に初参加なのだ。当然といえば当然だ。

彼のおっちゃんから「おっ真平ちゃん、灯籠持ち頑張りや」なんて声をかけてはもらえるのだが、なんせ担げない。それもそのはず、渡行の間ずっと先頭で「今から神輿が来ますよ」を知らせる役が灯籠持ちだからだ。初参加とはいえ面白くもなんともない。

最初は慎ましく、背筋を伸ばして灯籠を持っていた手は時間の経過とともに上下左右に揺れ動き、そのうち背筋は折れ曲がり始め数時間、交代要因として来ていた別の初参加組に灯籠を渡し、神輿の丁稚奉公からエスケープした。

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